文字色ヤマネの各分布情報を一元化したことで、ヤマネの全国分布状況が少しでも判りやすくなればと思います。
その事が多くの皆様のヤマネへの関心を高め、更なる目撃情報の発信と共有につながり、ヤマネの保全に貢献できれば幸いです。
この「Web情報に基づくヤマネ生息分布図の作成・公開について」の詳細はこちらでどうぞ。
第9回筑波大学技術職員技術発表会
報告
ヤマネ目撃情報収集の目的・意図
(平成21年4月23日追記)
ヤマネ目撃情報の収集・募集目的並びにヤマネ生息分布情報の公開の意図が不明瞭とのご指摘を頂きましたので、その方へ回答致しました文章の一部を記載し、理由の補足説明させて頂きます。
私はヤマネの生息調査を2006年から始めました。
巣箱調査の他に文献調査の一環としてヤマネの目撃事例の収集を行ってきたのですが、改めて中部山岳域のヤマネの生息状況と、東北地方や西日本のヤマネの生息確認事例の違いを知りました。
これはヤマネの生息密度の問題なのか?(低標高地域ではヤマネの天敵でもあるヘビ類の生息密度とヤマネの生息密度に関係があるのでは?といわれています)、ヤマネの行動が日中の気温変化に左右されやすいため、寒暖の差が大きい中部山岳域では動きの鈍くなったヤマネが目撃されやすいだけなのか?理由はわかりません。
そこで、ヤマネの目撃情報が得られた事例の日時・場所から、目撃された当日の気象庁アメダスデータと照らし合わせる事で、目撃されたヤマネの行動と気候の因果関係が明らかに成らないかと考えております。
また、生息場所を公開することは、その動物の保護につながるとも限らないとご指摘頂いた事の関しましては、次のように考えております。
ヤマネの生息分布域を公表することは、ヤマネの生息域にお住まいの皆さんに、ヤマネの存在を身近に感じていただく事が誤捕殺等の減少につながると考え、また過去にヤマネが生息していた地域で目撃情報が出てこない場合、どのような環境の変化があったのか等、調査研究のきっかけになれば、ヤマネの保全につながると考えております。
(平成22年6月22日追記)
別のブログでのヤマネ目撃情報の募集に対して下記のようなご意見をいただきました。その方へ回答致しました文章の一部を記載し、理由の補足説明させて頂きます。
(頂いたご意見)
「老婆心ながら申し上げますが・・・
こんな話題は、ネットで大声で語らない方が良いですよ。
誰がどこで見ているか解りませんから。
面白半分の人や、タチの悪いアマチュアカメラマンに、ヤマネの住み家は踏みにじられてしまいます。
ネットの恐ろしさを知って下さい。」
(回答)
私はヤマネの発見事例をこれまでに380件ほど収集いたしましたが、ヤマネの事故死・補殺が多い事実を改めて知りました。
主な事例としては粘着シートのネズミ捕りでの捕殺で、ヤマネも捕まり衰弱死致しますし、浴槽・バケツ・ゴミ箱等に落ち込み死亡したり、洋式便器に落ち溺死したりするヤマネが多いみたいです。
いずれにせよ人里近くにやって来るヤマネには生存を脅かす事がたくさんあります。
ヤマネは夜行性で人目に付き難い動物ですし、半年近くは冬眠していて姿を現しません。
その冬眠についても、近年の暖かい冬がヤマネ達の生存を危ぶんでいます。
ヤマネの冬眠入り・冬眠明けの目安が平均気温8.8度と言われています。
ここ数年は私が住んでいる長野の高原でも、1・2月に雪ではなく雨が降るようになり、積もった雪がいったん融けて消えてしまうことがあります。
そして暖かい小春日和が続き、その日の平均気温が8.8度を超え、太陽の陽射しが雪が無くなったヤマネ達が冬眠している場所を温めますと、ヤマネが冬眠から目覚めてしまいます。
冬の間は目覚めてもエサとなる昆虫や木の花・実はありませんのでエネルギーの補充が出来ません。
目覚めるのに氷温の体温を30度超えまで上げるのには相当のエネルギーを消費しますし、そのような事を何度か繰り返すと春先までエネルギー(蓄えた脂肪)が保たれず越冬失敗で死んでしまうそうです。
その地域に「ヤマネが生息している」とされていても、環境変化によりヤマネが生息出来なくなっていても誰にも気づかれません。
「面白半分の人や、タチの悪いアマチュアカメラマンに、ヤマネの住み家は踏みにじられてしまいます。」との事ですが、そのリスク以上にヤマネの生息状況が、人知れずに悪くなっているかもしれません。
「ネットの恐ろしさを知って下さい。」って事ですが、そのネットで全国の幸運にも偶然的にヤマネを目撃された方の情報発信により、ヤマネの生息状況の一端を知り多くの方と共有できます。
長文になって失礼をしました。
以上の事がヤマネ目撃情報の募集や生息分布図作成の理由とご理解頂ければ幸いです。
2010/09/11追記
ヤマネ目撃情報の募集と生息分布図作成・公開、ヤマネ生息調査へのご理解とご協力をお願致します。先月、ヤマネ目撃情報の照会をお願いいたしました匿名希望の方から
http://www.shigakogen.gr.jp/blog/?p=324#respond
下記のメールをいただきました。
送信者:yamane
日付:2010/08/23 19:32:04
件名:???情報の秘密
本文 あなたに教えるとyoutube動画のように巣を壊してイジメるは、営巣中を棒でツッツクはで、酷い事この上無しなので教えてやんないよ。皆の森に来ないでね。
また私が他の方のブログ上でヤマネ目撃情報交換を行った事に関してコメントをいただきました。
(コメント内容)
この人に情報を教えると、youtubeでアップした動画に観るように、営巣している巣を掻き分けてイジメるし、繁殖・子育て中の巣を棒でつっついて脅威を与えるは・・・ 研究・調査を名目にして捕獲はするはの酷い始末・・・ 大切で貴重な小さな野生生物はそっとしておきましょう。こういう方の目に触れさせないようにしながら。Posted by yamane at 2010年08月23日 20:00
お叱りのメール内容ですが、私が以前にツツジの枝先に巣を作ったヤマネの紹介を致したことに対してのお叱りと思います。
投稿記事 自然状態のヤマネの巣
http://yamanenoseisokubunpuiki.blogspot.com/2009/08/blog-post.html
上記の動画投稿
http://www.youtube.com/watch?v=6wyqBXRo7Dc
投稿記事 ヤマネの自然巣での繁殖
http://yamanenoseisokubunpuiki.blogspot.com/2009/08/blog-post_28.html
上記の動画投稿
http://www.youtube.com/watch?v=zrtzyfzeH7I
以前からヤマネが樹洞や野鳥の巣箱、天狗巣病の枝先に巣を作ることか知られていました。
今回はその天狗巣病の枝先にヤマネが巣を作った事例を紹介したものであります。
事例紹介に終わりヤマネの巣へ刺激を与えたことや写真・動画撮影の意図を説明しておりませんでしたので、ここに加筆させていただきます。(ご教示頂いたメールアドレスが不通、たくさんのコメントいただいた折のURLが未添付のため直接返答できませんでしたのでここに加筆の形で回答させていただきます)
確かに営巣中のヤマネの巣を小枝で突っつきヤマネの所在・繁殖を確認し映像に収めたことは、ヤマネ自身の立場からすると大変に脅威であり、可哀想な事を致しました。
このヤマネの巣は歩道沿いに作られていて、地上高1m位の位置に作られていた物です。
巣の存在確認は2009/08/03になされ2009/08/11にヤマネの所在確認を致しました。
そして2009/08/28に繁殖確認を致しました。
所在確認でヤマネの巣に刺激を与えてから繁殖確認までの約半月はヤマネは同所に止まり営巣をしていました。
繁殖確認をした後はヤマネは近くに設置をしていた調査用の木製巣箱に幼獣ごと引越し繁殖を終え、ヤマネの子供たちは巣立ちました。
調査用巣箱でヤマネが繁殖していた場合は幼獣の頭数確認と写真撮影をするのみで、ヤマネへの刺激は最小限に留める方針で巣箱調査をしております。
一般的にヤマネが巣を作ったり冬眠する立ち枯れの木は安全管理上伐倒され、天狗巣病に罹った枝先は菌の伝染防止で取り除かれ焼却されます。
しかし人間の都合で処分となる枯死木や罹病枝をヤマネが利用する場合があることの事例紹介の意味で写真・動画撮影をし、情報公開を行いました。
またヤマネの生態調査へのお叱りのコメントもいただきました。
http://yamanenoseisokubunpuiki.blogspot.com/2009/04/blog-post_1825.html
「研究・調査を名目にして捕獲はするはの酷い始末」とのご叱責もその通りでございます。
巣箱で捕獲したヤマネはビニール袋やネットに入れ体重測定を致します。
雌雄の判別はヤマネの背中をつかみ肛門と生殖器の位置関係で判定いたします。
ヤマネの生態を調査するためには個体識別で耳介に傷を付けたり穴を開けたり、ICタグを注入器(針の太い注射器)でヤマネの背中に皮下挿入いたします。
しかし上記の内容は文化庁の現状変更許可並びに県の鳥獣捕獲許可を受けての行為であり、ヤマネの生態調査には不可欠の物であります。
これまで何十年と一途にヤマネの研究をされてきた研究者の方のひたむきな努力の結果、ヤマネの生態が少しづつ解明され始め、その方の書籍・文献・講演等で私達はヤマネの知識を与えられております。
1年の約半分を冬眠し夜行性で人目に付かないヤマネですが、Web上での目撃情報を収集しましたところ、意外と多くの方がヤマネを目撃されております。
特に家屋内に入り込むヤマネにつきましてはネズミ捕りによる誤捕殺や、フタの無いゴミ箱・バケツ・浴槽・洋式便器等に落ち込み衰弱死する危険性が高まります。
野外においても巣立ったばかりの亜成獣が地面・道路に衰弱して動けない例や、春先の気温変動により雪上で休眠しているヤマネが発見されております。
ヤマネの生息情報の公表は多くの方とヤマネが以外にも身近に生息していることの共通認識につながればと思います。
上記の内容でヤマネ目撃情報の募集と生息分布図作成・公開、ヤマネ生息調査へのご理解とご協力がいただけるかは不明ですが、今後ともご叱責のメール・コメントを頂ければ幸いです。
以上長文で失礼を致しました。
- 2012/02/10(金) 20:20:00|
- ヤマネ生息分布域について
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各メッシュをGoogleマップ上に配置してみました。
関東地方より北方のメッシュ配置状況はこの様になりました。

関東地方より西方のメッシュ配置状況はこの様になりました。

Googleマップは、地図・航空写真・地形と3種類の表示方法があります。
1.地図形式の表示だと自治体毎のメッシュ数がわかりやすく、大きな河川や鉄道・高速道路・主要国道等、森林の分断状況とメッシュの位置関係がわかりやすくなります。

2.航空写真形式(地名表示無し)だと森林と市街地・農耕地の境がわかりやすくなります。

3.地形形式だと地形の起伏がはっきりとし、メッシュ内の地形的特長がわかりやすくなります。

Googleマップは地図の上下左右スクロールも縮尺変更もマウスで簡単に行えますので、閲覧目的の場所に簡単に移動することかできます。
ヤマネ発見状況の詳細を見るのには、任意のメッシュをクイックすると吹出しが現れてそのメッシュ内のヤマネ発見履歴がわかります。

それでは
「ヤマネ生息分布図」をお試しください。
- 2012/02/10(金) 20:00:00|
- ヤマネ生息分布域について
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環境省自然環境局生物多様性センターが「種の多様性調査(動物分布調査)2002」で、ヤマネの分布を確認年代別に表してます。
1992年までに確認されている地点41ヶ所と1993年以降の確認地点48ヶ所をメッシュのパターンを変えて表してありますが、双方を「環境省メッシュ」として今回は同表示としました。(メッシュをクイックした時に現れるコメント欄で確認年代がわかるようにしてあります。)
中島福男先生が「日本のヤマネ」(2001)の著作の中で、ヤマネの生息確認の場所・年月日等の記録の明確なものを●印274ヶ所、「よく見かける」とか「以前に見つけたことがあり、今でも生息の可能性がある」等の情報を○印63ヶ所で、地方ごとの地図にヤマネの分布を表されています。これも同様に双方を「中島メッシュ」として同表示としました。(同じくメッシュをクイックした時に現れるコメント欄で●・○印がわかるようにしてあります。)
●・○印の合計が337ヶ所ありましたが、2次メッシュに置き換えましたら265ヶ所の地点となりました。
都道府県のヤマネ生息確認地点はWeb上等で分布図を公表している13の自治体の情報のみを2次メッシュに置き換え、「県メッシュ」として136ヶ所を表示しました。(範囲が広い地名表記のものは2次メッシュに変換できませんでした。)
Web上で得られた640件のヤマネ目撃情報の内、目撃地点を特定できた592件も2次メッシュに置き換えましたら307ヶ所の地点となりました。(同じくメッシュをクイックした時に現れるコメント欄に、重複地点も含め発見時の詳細を表記してあります。)
地方別のWeb情報精査結果はこのようになりました。

地域別に各メッシュ数を見てみるとこのようになりました。
- 2012/02/10(金) 19:40:00|
- ヤマネ生息分布域について
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ヤマネの生息分布図は、環境省自然環境局生物多様性センターが聞取り調査を基に生息分布図を公表し(2002)、中島福男先生が「日本のヤマネ」(2001)の著作の中で、各都道府県立図書館所蔵の市町村誌(史)・郷土誌や他の研究者の文献、御自身の調査資料を基に生息分布域を発表されています。
各都道府県でもレッドデータブックとして生息分布図を公表している自治体があります。
しかしこれらの生息分布域には、各情報の表示方法に違いがあり、当然の事ですが統一性はありません。
そこで環境省が使用している表示方法(地域メッシュの2次メッシュ)で、各ヤマネ生息分布図を整理し、更にWeb上で得られたヤマネ発見事例も加え、Googleマップのマイマップでヤマネ生息分布域の統一図を作成しました。
まずは分布図作成にあたって、地域メッシュの区画の広さはこのようになります。
- 2012/02/10(金) 19:20:00|
- ヤマネ生息分布域について
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ヤマネ発見状況を月別で集計してみました。

ヤマネを発見した人はどの様な人か大まかに集計してみました。
グラフ凡例の詳細は
住人Aはヤマネが現れた家に住んでいた人です。
別荘Aはヤマネが現れた別荘の管理会社スタッフで別荘Bは所有者・利用者です。
施設Aはヤマネが現れた施設の職員・スタッフで施設Bは施設利用者です。
宿泊Aはヤマネが現れた宿泊施設の経営者・従業員で宿泊Bは宿泊者です。
登山Aは山岳ガイド・レンジャーの方で登山Bは登山者です。
観光イベントAは観光施設・イベントスタッフで観光イベントBは観光客・イベント参加者です。
野外探索Aは野鳥・昆虫を愛好される方や釣り人・山菜キノコ採集者等です。
工事関係Aは建設・建築リホーム業の方や電気・電線保守の方です。
農林業Aはほとんど林業従事者の方です。
環境・研究者のAは環境調査員の方で環境・研究者のBは研究者・大学生等です。
不明Aはヤマネ目撃時の記述・詳細が簡素で上記の区分に分けれなかった方です。
- 2012/02/10(金) 18:50:00|
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